生命保険の規制強化、今よりはいいかもしれないけど根本的な解決にはならない
金融庁は保険の販売ルールを2015年中にも創設する。生命保険などを募集する際、顧客の意向を把握すると同時に、顧客の商品選択に役立つ情報を提供するように求める。株式や投資信託並みの説明義務を課すことで、保険販売を適正化する狙いだ。
金融庁は今通常国会に保険業法の改正案を提出する。法案成立後にルールの詳細を詰める内閣府令を整備し、15年度に施行したい考えだ。
生命保険の契約手続きをする際の説明義務が強化される模様です。
おそらくこれは、大手生命保険フランチャイズショップの運営の仕方の問題がきっかけで、規制を強化すると昨年辺りから言われいている件だと思われます。
そんなわけで、2015年度に施行したい考えということですから、ユーザーサイドとしては、近い将来、今までよりも安心できる状況に、いくらか高まることになるでしょう。
株式や投資信託並みの説明義務
しかし・・・、わたしは保険の手続きは仕事でやりますが、株式や投資信託はやってないんですね。
また、個人的にそういったものを毎月チョイチョイ買い付けたりはしていますが、なんせネット証券を利用していますので、人間などから、実際に説明やアドバイスをしてもらったことがありません。
なので、ニュース記事の引用文の中に株式や投資信託並みの説明義務を課すとあるのですが、今一どの程度の話なのかわからない次第です。
今でもいろいろな義務が
昨年から言われていますのは、いわゆる乗合型の保険ショップに、プランの提案理由の説明を義務付けるなんてことは聞いています。なので、要はそういったことなのかもしれませんが・・・、どうなんだろう、意味あるのかな。普通義務付けられなくてもやるでしょ・・・。
顧客の意向を把握すると同時に、顧客の商品選択に役立つ情報を提供するように求める。
と、ニュース記事にありましたが、要するに顧客の気付きづらいところも含め良心的にその顧客の利益に叶う提案・助言を、ということなんでしょうけれど、う~ん・・・。
今だって、いろいろな義務が保険業法とか、金融商品販売法とかで課されているんですよ。
しかも、説明に関する規定で言えば、刑事罰まで定められていますし。
ルールで縛る限界
ちなみに、重要事項説明の義務というのがありまして、具体的には明文には書いてありませんが、「顧客が契約をする際に合理的判断をするために必要な情報を提供・説明する」という風に考えられています。
なので、繰り返しますが、今だっていろいろルールはあるんです。
しかし、あまりうまく機能していない面があるようですね。
これは、ルールで縛る限界なんだと思います。
いくらルールで縛っても、最終的には、書類のやりとり。
すべて、録音・録画でもしているのなら、あとから検証できますが、そうでなければ、どういう手続をしたのかは、書類上でしか確かな記録は残らないですからね。
そういう意味では、できるだけ記録を残すというのも、ユーザーサイドとしては後々のために有効な手段かもしれません。
しかし、はじめから、そういった前提で、契約するのもどうなのかとも思いますが、良さそうな人がいなければそれも仕方がないでしょうね。
ルールを守ってやる場合は良心的にしかやりようがない
ちなみに、わたくしはと言えば、当然、合理的判断をするために必要な説明や提案を行っています。自分で言っちゃいますけど、かなり良心的だと自負。
法律の条文を読みますと、あれもダメこれもダメ、違反したら、刑事罰だ!行政処分だ!とそんなことがたくさん書いてあって、要するに、良心的にやりなさい!!と書いてあるのです。しかも、そんなに書いてあったら、ルール守ってやる場合は、それ(良心的に)しかやりようがない感じですし。
それから、市場原理というのがありますので、中長期的にそのビジネスをやっていこうと思えば、基本的な話として、まともなことをやり続けて、ユーザーに喜んでもらい、信頼を得るように努めるというのはごくごく当たり前の話で、自然なこと。
しかし、そうならないところもあるわけですから、何度も言いますが、ルールで縛っても何しても良心的にやらない人はやらないんですよ。
仕組み上の問題
ただですね、これはユーザーの方には理解をしておいて貰いたいのですが、基本的な話として、どこも(保険代理店や保険会社)NPOとか公益法人とかではなく、株式会社なんですよ。通常。
そして、ここが一番のポイントなんですが、保険代理店ビジネスというのは、保険会社から報酬を貰うモデルなんです。
従って、元手は、ユーザーが支払う保険料ですが、保険料に対するパーセントでもって、報酬が支払われる仕組みですから、どうしてもそこにインセンティブが働き易いわけです。加えて、たくさんやったほうが、そのパーセント自体も通常多くなります。
ですから、保険料に関係なく、一件いくらとか、保険料に無駄のないプランだと報酬が高くなるとかでなければ難しい面はありますね。
というか、ユーザーから報酬をもらう仕組みにならなければなかなか解決しない問題だったりしますね。
ポイントは継続的に仕事を依頼される性質のものかどうか
ただ、その場合も継続的な取引がなければ、あまり機能しなくて、生命保険のように一度契約すれば、通常、ずっと、もしくは、暫く見直したりしないようなものの場合は、難しいでしょうね。
例えば、大家さんとアパートなどを管理する不動産会社と賃借人の関係とか、ちょっと例えは違いますが、一般の個人の代理人を務めるよりも企業側の代理人を務める方が弁護士として、ビジネスになり易いとか、そういうことはあります。
これは、いずれも継続的に仕事を依頼してもらえるのは誰かということなんですよね。あと単価の問題もありますが。
なので、損害保険の場合はこういった問題は起きづらいんですよ。年齢や健康状態の診査も基本無いし。
従って、継続的な取引があり、ヒドイ仕事をすれば、仕事を頼まれなくなる可能性が高いほど、良心的になりやすいわけです。
最後に
保険代理店というのは、基本的に、保険会社から仕事(顧客)を貰って、利益を上げているわけではなく、むしろ逆に、自分たち(保険代理店)が獲得した(仕事を依頼された)顧客が支払った保険料で、保険会社は運営されているわけですから、保険代理店が保険会社の事業を手伝っているわけです。
ですから、上記の例えとは同じではない面がありますが、生命保険の場合は、保険会社云々というよりも、ユーザーに頻繁に仕事を依頼される性質のものではなく、常に新規の顧客を獲得することが求められるビジネスモデルであるという点。
それに対して、一方、損害保険の場合は、契約更新が、一年~長くても5年程度で行われ、その都度手数料が発生するビジネスモデルですので、同じユーザーから継続的に仕事を依頼されれば、ある程度は一定の収益を確保できるわけです。
従って、生命保険の場合ほど、新規の顧客の獲得が常に求められるわけでは無いという点が大きな違いです。
なので、ルールとか、保険会社がどうとかってよりも、生命保険の制度自体の問題が大きいかもしれませんね。
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