自賠責保険の範囲内でやる場合、過失相殺はどうなるのか?
交通事故を起こしてしまった場合に、それぞれの過失に応じて責任を取り合う、ということはご存知な人が多いが、自賠責については理解されていない人が多い。まあ、無理は無いけど。
たぶん、保険代理店でも解っていない人って結構いるんだろうと思う。なので、その辺を少々書いておきます。
自賠責っていうのは、人身事故に対して、一定額まで出る、国の保険制度です。なので、保険会社は単なる窓口のようなもの。
で、この制度では、過失相殺についてのルールがあります。
ザックリ言うと、一定程度までは、過失があっても、その分を考慮せず、全額支払う、というもの。で、全額という意味は「過失分も出るよ!」という意味であって、限度額の範囲内であることと、自賠責の算定基準で計算した範囲内なので念のため。
なもんで、例えばあなたが、4割過失があるような事故でも、相手の自賠責からその4割分も補償してもらえるということです。そういう制度なんですね。業界でよく言われる言い方で言えば「救済目的の制度」なので、と。
で、具体的に決まっているので、それを。今現在こんな感じ。
数字で言うとこんな感じです。
なので、ケガは右側ですね。だから、ケガの場合は、7割行かなければ、過失分も出ると。65%とか極端な話69.999999999%であれば。実際の実務で、そんな細かくはやらないですけどね……。
つまり、7割近くと言ったら、全体のほとんどですが、それでも過失分も補償される制度。それが自賠責、なんです。
ちなみに、見ると判りますが、もしも、それ以上でも完璧に悪いわけではなく、相手が1ミリ(?)でも悪ければ、2割減額で済むので、8割は補償を受けられる、と。
ちなみに、任意保険の方は、物損と同様に過失分は払われませんよ。約款上「法律上の責任分」だけですから。なので、ケースによっては、自賠責でやるほうが金額多かったりするわけです。
だから、通常保険会社では、補償を受ける人が損しないように両方計算して、得な方を提案してくれるのが一般的。
あと、自賠責事務所と言って、役所みたいなとこなんですが、国の制度なので、保険会社の自賠責の請求事務をチェックするところがあります。そこが結構昨今、ある人の言葉を借りれば「うるさい」らしく、厳しくチェックしているらしいので、まあ、普通は、得な方でなるものと思われます。
だから、変に何かを心配しているケースが見受けられますが、普通はあんまり変なことになることはないんじゃないかな……。だって、自分達(保険会社)が怒られるわけですから。
ということで、自賠責はこういう制度です。今のところ。凄く被害者(?)にはいい制度ですね。というか、ほとんど全部悪いような状況でもほとんど補償を受けられるわけだから、賠償保険という感じではない面も。ほとんど悪いようなケースでは、ほぼ完全に加害者なわけで、被害というニュアンス自体違うのだから……。だから賠償じゃないよね……。
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